パルス高周波療法

痛み治療に対するパルス高周波療法(PRF)


(1)パルス高周波療法って何?
簡単に言えば、神経ブロックの一つの方法です。局所麻酔薬を注入するのではなく、針先から神経に高周波エネルギーを間欠的に加えます。42℃以下で間欠的に通電し、電場を発生させ、神経に影響を与えることで鎮痛を得ます。熱による神経破壊を行わないため、神経には安全で、力の入りにくさやしびれが起こりにくい治療法です。通常の神経ブロックは1~2日で痛みが元の状態に戻りますが、パルス高周波療法では3~6ヵ月の長期間の鎮痛効果が得られます。また「蓄積効果」で、2-3回の治療で以後の痛みの再発がなくなる方もおられます。
パルス高周波療法は、脊椎疾患、神経障害による痛みや関節の痛みに効果があります。


(2)治療の対象となる病気は?
  ①頚部神経根症(腕や手の痛み)
  ②頚椎椎間関節症(首の痛み)
  ③肩関節周囲炎(肩の痛み)
  ④腰部神経根症(下肢の痛み)
  ⑤腰椎椎間関節症(腰の痛み)
  ⑥仙腸関節痛(腰や臀部の痛み)
  ⑦変形性膝関節症(膝の痛み)
  ⑧末梢神経障害(肩甲上神経、伏在神経、腓骨神経)  などです。

(3)治療の実際
 入院は不要で、外来で治療します。
 エコーまたはX線透視を使用します。
 皮膚の局所麻酔後に、専用の針を目的の神経にピンポイントに当てます。
 ここで、42℃で4~6分間通電します。
 終了後は30~60分間の安静後に帰宅します。


高周波発生装置

腰部神経根にパルス高周波を通電

(4)痛み治療における当科の方針
  ①まず、第一に薬物療法です。
  ②薬物療法で改善が得られない場合や急性の痛みが強い場合に、局所麻酔薬を用いた神経ブロックを行います。
  ③神経ブロックで一時的な改善が得られた場合には、パルス高周波療法を施行し、長期的な痛みの改善を目指します。
  ④以上の治療でも痛みが改善しない場合には脊髄刺激療法(SCS)を検討します。


(5)最後に
  パルス高周波療法は、施行者から見てもかなり効果があり、身体にやさしい治療との印象を持っています。飲んでいる薬を減らせることもありますし、手術を考える前に施行してみるのも一つの選択肢と考えます。


2022年のパルス高周波療法の実績

三叉神経ブロック    2件
頚部神経根ブロック   3件
頚椎後枝内側枝ブロック 2件
肩甲上神経ブロック   3件
腰部神経根ブロック   9件
腰椎後枝内側枝ブロック 1件
腰部交感神経節ブロック 2件
仙腸関節ブロック    1件
膝神経ブロック     10件
伏在神経ブロック    3件
腓骨神経ブロック    3件


金沢医療センター 脳神経外科医長 中島 良夫

脳神経外科部長 藤沢 弘範


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