北國新聞に、当科の『脊髄刺激療法』が紹介されました。 (令和5年3月9日) 耐えられない痛みを改善させる脊髄刺激療法(SCS)
(1) 脊髄刺激療法(SCS:エス・シー・エス)とは (2) どのような痛みに効くのか(→神経障害性疼痛と虚血性疼痛に効きます、一部のがんによる痛みにも効きます) ① 侵害受容性疼痛・・・骨折、やけど、切り傷などのけがをするとその場所に痛みをおこす物質が産生され、この物質が末梢神経の侵害受容器を刺激することで痛みを感じます。関節リウマチや変形性関節症も含まれます。急性の痛みが多く消炎鎮痛剤が有効です。 ② 神経障害性疼痛・・・何らかの原因で神経が障害されると痛みが発生します。帯状疱疹後の痛み、頚椎症の神経障害による痛み、坐骨神経痛、脳卒中後の痛み、糖尿病の合併症による痛みが挙げられ、目に見えない痛みであり、長引き、治りにくいことが多いです。「ビリビリ」「ジンジン」「チクチク」などのしびれるような痛み、電気が流れているような感じ、軽く触れるだけで生じる痛み、差し込むような急激な痛み、と表現されます。 ③ 侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛の混在した痛みです。腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やがんの骨転移などがあります。 この他に ④ 虚血性疼痛・・・下肢の血行障害から組織が低酸素状態となることで生じる痛みで、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病などがあります。 この中で、脊髄刺激療法が有効なのが、神経障害性疼痛と虚血性疼痛です。 (3) 脊髄刺激療法(SCS)の効果 (4)使用する機器 ② 刺激装置(ジェネレータ) 回路と充電式の電池が内蔵されています。ペースメーカーに似た装置です。 ③ 患者用プログラマー(リモートコントロール)。 患者さん自身が体外から刺激を調節できます。
(5)脊髄刺激療法(SCS)の流れ 自覚している痛みについて診察し、患者さんと相談し、トライアル(試験刺激)を行うかどうか決めます。 ↓
約10日間入院。 局所麻酔下で、経皮的リードを腰から挿入します(1時間)。体の外に刺激装置を装着します。 病棟で7日間、いろいろな種類の刺激を試し、患者さんの痛みが改善するかどうかを調べます。 リードを抜去して退院します。 ↓
退院後に再診していただき、トライアル実施時と現在の痛みを比較します。効果がなければこれで終了です。トライアルの効果があった場合に本植え込みを行うかどうか相談します。 ↓
約10日間入院。 トライアルの手術と同様に、局所麻酔下にリードを留置します。 その後、静脈麻酔下に、臀部や腰背部の目立たない部位に刺激装置を留置します(約2時間)。 手術後は、すぐに歩行できます。 入院中に患者さんには患者用プログラマー(リモートコントロール)の操作や充電の仕方を習得していただきます。 ↓
数ヵ月月間は、外来に定期的に通院して、鎮痛効果が安定するまで、刺激の条件やプログラムを調整します。 安定したら、3ヵ月に一度、鎮痛効果と刺激のプログラムの確認を行っています。 (6)脊髄刺激療法(SCS)に関するよくあるご質問
脳神経外科医長 中島 良夫 統括診療部長 藤沢 弘範 |