金沢医療センター
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  予防・治療開発研究室

予防治療開発研究室ではこれまで、種々の動脈硬化性疾患、特に多発性閉塞性動脈硬化病変に対する予防のためのデータ蓄積や新しい低侵襲治療の開発に研究の力点をおいてきました。本年度、研究室の再編がなされ、単独の室長により研究を進めるのではなく、複数の診療科とくに循環器(外科系)、骨・運動器、麻酔科学および病理学に関する分野の研究員が集まり、協力しながら研究を進めていくこととなりました。それぞれの研究で類似点も多く、良好な協力体制を構築できるものと思います。
【1】循環器(外科系)

a. 脳神経外科学

1. 脳虚血症例に対する機能改善、再発予防のため、循環動態を検討し適切な治療法選択・実施を行う。

(1) 動脈狭窄、閉塞による脳虚血症例の治療
・急性期: t-PA投与、選択的血栓溶解術
・慢性期: 脳内動脈吻合術、頸動脈内膜剥離術、頸動脈内ステント留置

(2) 上記治療の際の合併症の軽減、消失のため手技、材料の改善、モニタリングの検討を行う。

2. パーキンソン病症例の治療 機能的手術
難治性症例に対し、脳深部刺激治療を行い機能改善を図り、その有効性、安全性について検討する。

3. 低侵襲手術の検討
脳腫瘍や脳動静脈奇形摘出術において神経学的脱落症状を最小限にする必要がある。病変部と脳の機能部位の位置関係を明確にするため、機能的MRI、電気生理学的モニタリング、ナビゲーションなど各検査を導入し、その有効性について検討する。

b. 心臓血管外科学

1. 多発性閉塞性動脈硬化病変に対する多角的診断と集学的治療に関する研究
これまでの臨床研究部の主要課題のひとつであり、血管(特に動脈硬化)というKey wordに関する直接の研究課題は今後も継続し、発展を図る。

(1) 動脈硬化性病変と脂質・糖尿病との関連性についての研究:脂質代謝・糖尿病からみた血管疾患に関する基礎的データの蓄積を継続し、臨床への還元を進める。

(2) 心臓・血管手術の低侵襲化に関する研究:心臓疾患においてはこれまで冠動脈疾患だけでなく、弁膜症でも心拍動下手術を導入して、低侵襲手術の開発に重点的に取り組んで来た。また大〜末梢血管でも低侵襲手術の導入が進められており、これらを確立するため、臨床データの解析を行う。

(3) 大腿膝窩動脈ステント留置術後における再狭窄の検討と治療適応の確立:閉塞性動脈硬化症に対する血管内治療の進歩は目覚ましいが、大腿膝窩動脈ステント留置術では未だ高率な再狭窄が問題となっている。再狭窄の危険因子を確立することは、治療適応の決定や、再狭窄早期発見による開存性向上のために重要である。大腿膝窩動脈ステント留置術後における再狭窄例の詳細な解析により危険因子を確立し、またその結果から本邦における治療適応基準を検討する。

(4) 頚動脈狭窄に関する近赤外線分光法を応用した血流評価に関する研究:頚動脈病変は脳梗塞と密接に関連し、その外科治療としての頚動脈内膜切除をより安全に行なえるよう、近赤外線分光法を用いた術中モニタリングを行った症例を蓄積し、波形によるパターン分類に基づいて本当に必要な症例のみに血流補助を行い、その有効性を検討する。循環(外科系)内の協力も行っていく。

2. 心血管系におけるIgG4関連疾患に関する研究
血管疾患における新しい疾患概念であるIgG4関連血管周囲炎に関する研究を進める中で、冠動脈でのIgG4関連血管周囲炎を初めて発見することができ、臨床検査科(笠島科長)の指導・協力のもと、心血管系でのIgG4関連疾患についてさらに研究を進めている。

3. そのほか循環器外科関連の単年度研究を行っていく。

c. 病理学

1. 炎症性腹部大動脈瘤の成因よりIgG4関連慢性動脈周囲炎の提唱
腹部大動脈瘤(abdominal aortic aneurysm; AAA)の一亜型として、動脈外膜の線維性肥厚やリンパ球形質細胞などの炎症細胞浸潤が特徴的な炎症性腹部大動脈瘤(inflammatory AAA; IAAA)が知られている。IAAAの頻度はAAAの2-10%で、臨床的に発熱や腹痛を伴い、周囲との癒着が強いため手術困難例が多いことが問題となる。IAAAは当初は動脈硬化性AAAの末期像と考えられていたが、全身性の自己免疫異常との関連や、サイトメガロウィルス、クラミジアなどの局所の持続性慢性感染との関連が原因として注目されてきた。また、IgG4関連硬化性疾患は血清IgG4高値、組織での多数のIgG4陽性の形質細胞浸潤と線維増生を特徴とする疾患群であり、自己免疫性膵炎での報告以来、胆管炎、唾液腺炎など多臓器での疾患概念として広がりを示しており、近年、特発性後腹膜線維症(idiopathic retroperitoneal fibrosis; IRF)でも報告されている。IAAA はIRFと近縁性、類似性が高く、併せて慢性動脈周囲炎という概念が示唆されている。両者の近縁性より、我々はIAAAがIgG4関連硬化性疾患なのではないかという仮定のもと症例を検討してきたが、今までの研究で、組織学的、血清学的にIAAAの約半数がIgG4関連硬化性疾患である事を示した。今後、IAAA とIRFの中でIgG4 関連硬化性疾患といえる一群をIgG4関連慢性動脈周囲炎として捉え直し、臨床病理学的な特徴を明らかにした上で疾患概念として提唱したい。また、IgG4に関係しない慢性動脈周囲炎の成因についても検討していきたいと考えている。

【2】骨・運動器
a. 「EBM研究」
1. 人工関節置換術後の静脈血栓塞栓症の実態と予防に関する臨床研究
人工関節置換術後に発生する静脈血栓塞栓症(VTE)に対する、本邦での予防法の実態を調査して、各予防法のVTE 発症予防効果を検証し、日本人に適切な人工関節置換術後VTE 予防法を確立することを目的とする。当院で行われる下肢の人工関節手術(人工膝関節置換術、人工股関節置換術)を対象として、深部静脈血栓症の発症を検討する。超音波検査により、深部静脈血栓の有無をチェックする。術後1か月において、最終検討を行い終了となる。マーカーとして、年齢、性別、体重、基礎疾患、血液検査、D-dimer、HIT-抗体、肝機能、などを用いる。下肢の深部静脈血栓は、生活の欧米化とともに最近、増加傾向にあり、人工関節手術の合併症として注目されてきている。この、原因、因子を解明することで、より安全な手術を行うことができる。

b. 「基礎研究」
1. 発光ダイオード(LED)の生体活性効果に対する研究
発光ダイオード(LED)の光源は、近年その生体活性化作用が注目されている。高輝度発光ダイオード(LED)照射装置(中心波長 627nm; CCS Inc. 京都)を用いてマウスの創傷治癒機転の促進を研究している。正常マウスの線維芽細胞株NIH3T3 (理化学研究所. 茨城) を用いて、LED照射による細胞増殖への影響について検討する。また、ラット背部に左右両側に直径20mmの全層皮膚欠損創を作成し、連日4J/cm2 (160s)のLED照射を行い、総称治癒面積を検討する。対象面と光源には5cmの距離を置く。創作成後7, 14日目に創縁をトレースし、スキャンした画像から残存する創傷面積(RWA%)を評価する。ラットの背側に坐骨神経を切断しシリコンチューブで架橋した、末梢神経再生モデルを作成し、LED照射の影響をみる。LEDは創傷治癒を促進し、末梢神経の再生を促進する作用があることが期待される。

【3】麻酔科学
1. 鎖骨上腕神経叢ブロック
上肢の手術に局所麻酔に用いられる腕神経叢ブロックは技術的に困難なものです。当院では一昨年より、イメージ透視下の鎖骨上腕神経叢ブロックを行い、非常に良い成績を得ています。このブロックは、現時点でも非常に高い成功率、低い侵襲性を持ちますが、超音波装置を近い将来に導入し、さらに安全、確実なブロック法へと進化させるべく研究していきたいと考えています。

2. 心臓手術における麻酔法の研究
当院の心臓手術では、硬膜外麻酔を全身麻酔に併用することによって良い成績を収めています。この麻酔法によれば、体外循環を用いた場合でも、カテコラミンの分泌を抑制できる、強心薬の使用量を低減できる、血糖値の上昇を避けられる、気管チューブの抜去が早くなる、等のメリットがあります。いろいろな薬剤の研究、循環動態に関する研究、人工心肺技術の研究等をさらに進めることによって、安全快適な心臓手術麻酔を目指すことができると考えています。