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1.下肢静脈瘤
足の表面に膨れた静脈が蛇行している状態です。妊娠を繰り返したり、長時間の立仕事や足に力を入れる仕事の人に多く見られます。成人女性では20%、男性でも7%近くに認めると言われています。

下肢静脈瘤ってどんな病気?
足の静脈の構造 足の静脈の本幹は、筋肉の深い所で骨の横を動脈や神経に寄り添って流れています(深部静脈)。 本幹と別に皮膚のすぐ下にも静脈があり、足の付け根と膝の後で本幹に合流している表面の静脈(表在静脈)があります。  また、深いところを流れている本幹(深部静脈)と表面の静脈(表在静脈)の間をつなぐ枝(穿通枝)があります。 静脈には血液を足先から心臓に返すために、いたるところに弁(静脈弁)があります。左下に静脈弁の拡大図がありますが、この弁の作用により、上向きの血流が可能となります。2本足で立っている人間では血液はその重みで下に戻ろうとしますが、これを食い止めているのが静脈弁です。

静脈瘤とは?
ところがいろいろな理由で表面の静脈(表在静脈)の弁(静脈弁)が壊れて血液が逆流し、静脈の圧力が上がって膨らんでしまうのが静脈瘤という病気です。


※2つの図は,アルケアKKのご好意により,愛知県立看護大学平井正文教授監修の冊子から改編して掲載させていただきました。



○症 状
静脈瘤が高度になると血液が足によどんで、疲れやすい、色がつく、潰瘍ができるなどの症状が出てきます。 時には静脈内に血液の塊(血栓)ができ、それが肺にとび呼吸困難となる場合もあります。重症例では突然死の原因にもなります(エコノミークラス症候群)。

1)皮膚の下に青い静脈が見られ、最初は立ったときに細いのが見られますが、段々太くなり屈曲し目立つようになります。 2)立っていた後や夕方にふくらはぎが疼くような傷み、抜けていくようなだるさ或いは痙攣を来します。
3)段々足が太くなります。とくに足首や下腿で朝夕の差が明確になります。
4)太い静脈内に血の塊が出来て赤く炎症を起こし、固く、痛く触れます。

5)皮膚が硬くなり、黒く汚れた色に変わり、最後には皮膚が破れ、治りにくい潰瘍を形成します。

○治 療
1) 硬化療法
静脈瘤の中に血液を固める薬を注射して圧迫し、固めてしまう方法です。外来通院で可能ですが、再発が多いのが欠点です。

2) 根治的抜去術(ストリッピング術)
100年以上前から行われている手術です。逆流している静脈を数箇所で切開して抜去します。麻酔は背中に麻酔用の細くて柔らかい管を入れ下半身を麻酔します。手術中に寝ていたい方は麻酔科に相談して下さい。 通常2泊3日の入院で治療可能です。前日に入院していただき、翌日手術し、次の日には退院です。
また抜去した静脈瘤に沿って青あざができる場合があります。これは静脈瘤の枝からの出血で、枝をすべて処理しようとすると傷が多くなり余計に目立つので、外から圧迫して止血しますが時に目立つ場合があるのです。しかしこれは時間がたてば必ず消えてゆきます。術後しばらくの間切開した傷や静脈瘤を抜去した部位に痛みや痺れを感じることがありますが,これも時間と共に軽快していきます。 手術ですからどうしても傷がつきますが、皮膚の筋に沿って目立たないように小さくし、数はなるべく少なくします。また病気の特殊性から手術でも瘤を完全に切除できない事もあり,硬化療法や局所麻酔下の部分切除が必要になる場合もあります。
退院後,日常生活には問題ありませんし軽作業は可能です。一週間ほど後に外来で術後の診察をさせてください。
右にストリッピング術前と一週間後の写真を示します。御参照下さい。 一週間後では、まだ少しきずがわかりますが,これも日を追うごとに目立たなくなってゆきます。

○後療法
どの治療法を行っても数日から2週間は強く包帯で圧迫します。その後は3〜6カ月、弾性ストッキングを着用してもらいます。


2.下肢静脈不全症候群
静脈瘤のひどい方や静脈瘤がはっきりしないのに足の腫れがひどく、痛みを伴い、下腿から足にかけ色素沈着などを認める人がかなりあります。静脈瘤を治療しても余り症状が良くならない、早く症状が再発する病態です。足の中央、深い所にある静脈弁が合わなくなり、立っている時に全身の静脈が足に逆流するため生じている現象だということが解ってきました。
静脈造影で血液がそけい部から膝の下まで逆流することで診断します。
【静脈弁形成術】
この逆流を止めるために弁が合うように種々の手術が行われています。私たちは静脈壁の外側から拡張している静脈を縫縮する方法を世界で初めて行い、現在まで50例以上行っていますが全例順調に経過しており、再発は1例もなく良い方法だと考えています。