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心臓カテーテル法・狭心症
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  心臓カテーテル法・狭心症

>心臓カテーテル法とは?狭心症とは?
>カテーテル検査前に行う通常の検査
>カテーテル検査前日の病棟での準備
>カテーテル検査当日の病棟
>カテーテル検査中
> カテーテル検査終了後
>カテーテル検査翌日
>治療法の選択
>経皮的冠動脈インターベンション(PCI・PTCA)
>心臓カテーテル法の合併症

心臓カテーテル法とは?狭心症とは?

心臓カテーテル法とは、色々な心臓病を持つ患者様の診断や治療に用いる1つの手技です。診断の場合は心臓カテーテル検査、治療の場合はカテーテル治療またはカテーテルインターベンションと言います。いずれの場合も原則として2泊3日の入院が必要です。

最もよく見られる心臓病の一つに虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)があります。これは心臓の筋肉に血液を送っている動脈(冠動脈)を冒す病気です。冠動脈が、@動脈硬化、A血液のかたまり(血栓)、B血管のけいれん(攣縮)またはC心臓の筋肉内の細い血管異常などにより狭くなると、一時的に血液や酸素が心臓の筋肉に十分ゆきわたらなくなります。このような状態が狭心症です。持続時間が30分以内の一時的な、胸のしめつけ感や圧迫感を認めるのが特徴的ですが、息切れや、顎や肩や腕の痛みや重い感じを認めることもあります。血液のかたまり(血栓)により冠動脈が完全に詰まってしまうと、その先にある心臓の筋肉が死んでしまい(壊死)動かなくなります。この状態は急性心筋梗塞で命にかかわることもあります。30分以上つづく胸痛は、急性心筋梗塞などの重い病気である可能性が高く、夜や昼の時間をとはず大至急病院へ行くことが必要です。
狭心症は、@安定狭心症、AX症候群(微小血管性狭心症)、B不安定狭心症、C冠攣縮性狭心症の4つに分類されます。心臓カテーテル検査を行うと、安定狭心症や多くの不安定狭心症では、冠動脈が閉塞したり狭くなっている部位が見られます。冠動脈に狭い部分が見られないときは、正常な冠動脈なのか、けいれん(攣縮)がおきやすい異常な冠動脈なのかを区別するため、アセチルコリンという薬を冠動脈内に注入します。冠攣縮性狭心症では冠動脈が狭くなるけいれん(攣縮)がおこりますが、正常者ではおこりません。冠動脈に狭い部分がなく、けいれん(攣縮)も起こらないのに、胸痛がある場合はX症候群(微小血管性狭心症)が疑われます。心臓カテーテル検査により、あなたの胸痛がとのタイプの狭心症によるのかを診断し治療方針を決定します。

心臓カテーテル検査の間、循環器内科医はレントゲンテレビを使って血管が狭くなったり、閉塞したりしている部位を見つけます。この検査は病院内の血管撮影室で行われます。血管撮影室には動いている心臓や血管をみるための装置があります。
心臓カテーテル検査では、カテーテルと呼ばれる直径1.5mm〜2mm程度のプラスチックのチューブを、足の付け根、腕または手首の動脈に注射のようりょうで挿入し心臓まで持ってゆきます。カテーテルが心臓まで入ったら、循環器内科医は心臓や血管をレントゲンテレビに映し出すため造影剤という薬をカテーテルから注入します。
もし循環器内科医が狭くなったり、閉塞した血管を見つけた場合、カテーテルを用いて血流を改善する治療法、手術療法または薬物療法のうち最も適した治療法をお知らせします。

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カテーテル検査前に行う通常の検査

医師から心臓カテーテル検査の必要性を説明され、あなたがカテーテル検査を受けようと決めた場合、いくつかの検査があなたの状態をより良く知るのに役立ちます。あなたは当科へ来る前、かかりつけ医や紹介医ですでにいくつかの検査を受けているかもしれませんが、当科の循環器内科医は以下の検査をお勧めします。

次のものはカテーテル検査前にどうしても必要です
● 循環器内科医による問診と身体診察
● 心電図
● 胸部レントゲン写真
● 血液検査
以下のものをさらにお勧めする場合があります。
● 運動負荷試験(トレッドミル試験)
● 心臓超音波検査(心エコー検査)
● 心臓核医学検査(アイソトープを用いた心臓の写真"心筋スキャン")
● 腹部レントゲン写真

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カテーテル検査前日の病棟での準備

検査前日に循環器内科主治医と担当看護師があなたの部屋にうかがい検査の予定時間帯をお話しします。この時、カテーテル検査に関して質問があれば遠慮なくたずねることができます。検査前日に署名、捺印をした検査同意書をナースセンターへ提出していただきます。夜はゆっくりと眠ってください。眠れない時は看護師にお知らせください。

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カテーテル検査当日朝から開始まで

検査に行く前までにトイレをすませ、ヘアピン、入れ歯、うで時計、めがね、コンタクトレンズをはずしておいて下さい。検査が午前中の場合は朝食を食べられません。検査が午後の場合は、朝食は食べられますが、昼食は食べられません。
● 感染予防のため抗生物質を朝から飲んでいただきます。
● いつも飲んでいる薬を主治医の指示で変更する事があります。
● オシッコの管を入れる場合があります。
● 病室を出る前とき、肩に気持ちを落ち着けるための注射をします。
呼び出しがあったら、ストレッチャーで血管撮影室に向かいます。

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カテーテル検査中

血管撮影室に到着したら、ストレッチャーから平らな検査用ベッドへ移ります。部屋にはテレビモニターなどの装置があります。医師と共に検査にたずさわる看護師、臨床検査技師および放射線技師が検査の準備をします。臨床検査技師は、あなたの胸に心電図モニターをつけます。
検査担当医師は、カテーテルを入れる部位(足の付け根、腕または手首)を消毒し、体全体に清潔なシートをかけます。まず、カテーテルを入れる部位に局所麻酔の注射をします。この時は、普通の注射と同じように痛みを感じます。つぎにシースと呼ばれるチューブを動脈または静脈に挿入します。シースは長いカテーテルを簡単に出し入れするための短い管です。シースを挿入する時、軽い圧迫感や不快感を感じることがあります。この後は、カテーテルを心臓へいれて検査を進めますが痛みを感じることはありません。もし、痛みや不快感を認めた場合はその場の医師や看護師にお話ください。
まず心臓のポンプ作用に最も大切な部屋(左心室)の動きが正常かどうかを調べます。カテーテルを左心室に入れてこのカテーテルから造影剤を機械で注入し動画をとります。この時、2~3秒間胸が熱く感じますがすぐ取れてゆきます。この左心室の動画により心臓のポンプ作用がどの程度かがわかります。
次は心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)に狭いところがないかどうか調べます。カテーテルを冠動脈の入り口へ持ってゆき検査担当医師が造影剤を注入し動画を取ります。あなたの胸のまわりをカメラが動き、いろんな角度から撮影します。
冠動脈のけいれんが胸痛の原因(冠攣縮性狭心症)として疑われる場合、診断を確定するためわざとけいれんを誘発する薬を注射することがあります(アセチルコリン負荷検査)。けいれんが誘発されれば胸痛を認めますが、けいれんをとる薬の準備をしてあるのでご安心ください。なお、この検査(アセチルコリン負荷検査)をする場合は検査前にお話しいたします。
検査終了後に血管撮影室内で検査結果のおおよそをお話します。今後の詳しい治療方針については当日の夕方か翌日に主治医より説明があります。

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カテーテル検査終了後

動脈からシースを抜いて止血をします。止血は医師が手で15〜30分圧迫する場合と止血用具を使用する場合があります。足からの検査では6時間、腕からの場合は1〜3時間ベッドで安静にしていただきます(この間、検査をしたほうの足や腕を曲げないでください)。ただし、いずれの場合も止血器具を完全にはずすのは翌日の朝です。検査を足からするか腕からするかはあなたの病気と検査内容によって決まります。通常の場合、検査後の食事は普通にできます。
次のような症状があれば看護師にすぐ知らせてください。
● 生あくびが出る、吐き気がする、冷や汗が出る
● 胸痛、顎や腕の痛み
● 息がしにくい
● カテーテルを抜いて止血をしている部分の痛みや、その部分に暖かい湿った感じを認めた時
● その他の不快感がある時

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カテーテル検査翌日

朝、止血器具をはずします。その後は、検査前日と同様に動いて結構です。医師の許可があれば夕方には入浴可能ですがカテーテルを入れた部分を強くこすったりするのは避けてください。あなたが他の病気で引き続き入院予定でなければ退院できます。退院日だけは激しい活動は控えてください。次の日からは普段どおりの生活ができます。
退院までに主治医から次の点について説明があります。
● カテーテル検査の結果
● 今後の治療方針(薬による治療、バルーンで狭い血管を広げる治療、手術など)
● さらに検査が必要な場合はその予定
● どの程度の活動をしてもよいか
● 緊急時の連絡法
● あなたに関する特別な注意がある場合はその注意点について

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治療法の選択

心臓カテーテル法が治療のために使われる場合、しばしばその治療法は「カテーテルインターベンション」と呼ばれます。この治療は基本的に心臓カテーテル検査と同じ手技を用います。検査終了後、主治医は他の循環器内科医と話し合いながらあなたの検査結果を検討し今後の治療方針を立てます。その後で、主治医は治療方針と、治療法にどのような選択肢があるかをあなたに説明し、あなたの希望を考慮しながら最終的な治療方針を決定します。治療が必要ない場合もありますし、これまで飲んでいた薬の種類を変えることもあります。経皮的冠動脈インターベンションや冠動脈バイパス手術が必要な場合もあります。

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経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous Coronary Intervention; PCI)

外科手術と違って胸を切開せずに行う方法で、心臓カテーテル検査と同じ要領でカテーテルを用い、狭くなったり閉塞している冠動脈を拡張します。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)または経皮的冠動脈形成術(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty; PTCA)と呼ばれます。この治療に要する入院日数は患者様の状態や病変の程度により3日〜5日です。血管を広げる主な方法には次のようなものがあります。
1) バルーン血管形成術 (Plain Old Balloon Angioplasty; POBA)
先端に小さな風船(バルーン)のついたカテーテルを血管の狭窄部にもってゆきます。風船をふくらませることによって血管を広げます。
2) ステント
広げた血管が再び狭くなる(再狭窄)頻度を少なくするためステントという金属製の網状チューブを使用することがあります。風船の周りにステントがついたカテーテルを血管の狭窄部にもってゆきます。風船を膨らませるとステントも同時に拡張します。風船をしぼませ、ステントを血管内に留置したまま風船付カテーテルを引き抜きます。再狭窄の頻度をさらに少なくするため、薬を塗ったステント(薬剤溶出ステント)を使用することもあります。
この治療法は、動脈硬化で狭くなった血管を風船で機械的に広げるもので、動脈硬化自体を根本的に治してしまうことはできません。したがって、再狭窄の頻度を0%にすることはできません。このため、治療が終わっても外来での定期的な観察が必要です。
尚、ステンレスのステント留置を受けた患者様は、治療後3ヶ月たってステントが固定されるまではMRI検査は控えたほうがよいとされています。他の病気でMRI検査をすすめられた場合は医師に相談してください。

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心臓カテーテル法の合併症

心臓カテーテル検査は現在では確立された検査法ですが、あなたの血管の中にカテーテルという細い管を入れて行ういわゆる侵襲的な検査です。従って、危険性はゼロではありません。平成7年10月から平成16年8月15日にかけ当科でおこなった心臓カテーテル検査2816件から求めた合併症の頻度は次のようなものでした。
● 輸血を必要とするような出血 0.036% (1/2816)
● 感染症 0.000% (0/2816)
● 重篤なアレルギー性ショック 0.000% (0/2816)
● 急性心筋梗塞 0.000% (0/2816)
● 心タンポナーデ 0.071% (2/2816)
● 検査後3日以内の脳梗塞 0.036% (1/2816)
● 外科的処置を要する血管損傷 0.071% (2/2816)
● 死亡 0.000% (0/2816)
当科では以上のような確率で生ずる可能性がある危険性と、カテーテル検査より得られる情報が患者様にもたらす有用性を説明し同意を得た上で検査を実施しています。

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