血液内科/内科



  血液内科の紹介

急性・慢性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器悪性腫瘍、さまざまな原因による各種貧血症、血小板減少や凝固異常に伴う出血性疾患などの他、あらゆる血液疾患の診療を行っております。また血液疾患以外でも、さまざまな疾患における血液学的異常や、血液を利用した疾患の治療に対しても積極的に関わってゆきたいと考えています。特に造血幹細胞移植は、当院の優れた設備を利用できる領域として、また血液疾患以外の疾患においても有効性が期待されている治療として重点的に発展させたいと考えております。

すぐれた設備、医療環境のもとで、治療成績、治療内容の向上と、十分なインフォームドコンセントに則った医療を目指して努力して行きたいと考えております。

様々な血液疾患を専門的に治療できる石川県の基幹的施設として先端医療を提供しています。無菌病室 (4床)など最新の設備を有し、充実したスタッフが診療にあたっています。白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など血液難病の治療に特に力を入れており、自家末梢血幹細胞移植を初めとする先進医療を行っております。

さらに、患者様と十分なコミュニケーションをはかり、いわゆるインフォームドコンセントの実行を心がけております。今後とも患者様に満足していただける医療を目指して努力して行きたいと考えています。
  外来診察・スタッフ紹介

大畑 山野 ②大畑
⑥三村
近川 三村

【スタッフの紹介】
血液内科部長 大畑 欣也
医師 三村 優仁
医師 山野 塁子
医師 近川 由衣
  当科の対象疾患

■当科の対象となる疾患
○急性骨髄性白血病
○急性リンパ性白血病
○慢性骨髄性白血病
○慢性リンパ性白血病
○成人T細胞白血病
○真性多血症
○骨髄線維症
○本態性血小板血症
○骨髄異形成症候群
○悪性リンパ腫
○多発性骨髄腫
○原発性マクログロブリン血症
○伝染性単核球症
○再生不良性貧血
○鉄欠乏性貧血
○悪性貧血
○自己免疫性溶血性貧血
○遺伝性球状赤血球症
○発作性夜間ヘモグロビン尿症
○サラセミア
○異常ヘモグロビン症
○播種性血管内凝固症候群
○特発性血小板減少性紫斑病
○血栓性血小板減少性紫斑病
○血友病
○先天性血小板機能異常症
○先天性免疫不全症
以上のようなすべての血液疾患。その他、造血細胞移植の対象となる悪性固形腫瘍。

■次のような症状は血液疾患の可能性があります
○ 貧血症状(顔色が不良、ふらつき、息切れ、立ちくらみなど)
○ 長期間続く風邪症状(全身倦怠感、発熱、咽頭痛など)
○ 打撲した覚えもないのに皮下出血(青あざ)ができる
○ 鼻出血や歯肉出血が頻繁に起こる
○ リンパ節(リンパ線)の腫大(頸部や腋の下などのしこり)
○ 健康診断で白血球数や血小板数の異常を指摘された
  医療機関の先生へ

金沢医療センターでは国の政策医療の一環として、平成12年より無菌室が設営され、それを機に血液内科医が常時勤務致しております。以後年々診療実績を上げ、平成15年からは3人体制で診療を致しております。前述の無菌室に加えて末梢血幹細胞採取装置、幹細胞保存の設備も備えており、平成14年度より自家末梢血幹細胞移植もスタートしております(平成14年度実績4例)。上述のハード・ソフト両面での充実により、今まで以上にキメが細かくかつ素早い対応が可能となりました。今後は同種移植の開始を近年中に予定をしております。

つきましては、当科的疾患と思われる症例(白血球増多、貧血、血小板減少、リンパ節腫脹等々)がありましたらご相談、ご紹介頂けましたら幸甚です。(もちろん疑い例でも結構です)
  血液疾患豆知識

血液のトリビア     血液疾患に関してのちょっとした豆知識を紹介

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|5、血の気が多くなることも|6、血液型 |7、チョップで治す |▲ 血液のトリビアトップ



■第1回:サラセミア(thalassemia)

世界史を勉強した人なら「サラセン帝国」という国名を聞いたことがあると思います。その昔、ヨーロッパ人は地中海に面した北アフリカの地域をサラセンと呼んでいたため、この名称が付いたとされています(現在はイスラム帝国と呼ばれるようですが)。実は、血液の病気の中にこの名前にちなんだものがあります。それは「サラセミア(地中海貧血)」という病気で、地中海沿岸の地域に多い病気のためこの名前が付けられました。サラセミアは遺伝性の病気で、赤血球内のヘモグロビン(血色素)の合成障害によって貧血となります。既述したように地中海地方に多い病気ですが、日本をはじめとする東アジアにもその病気の人はいます。採血データでは、小球性(= 一つ一つの赤血球が小さくなる)で低色素性(= 一つの赤血球に含まれるヘモグロビンの量が少なくなる)の貧血となります。この小球性低色素性を呈する貧血ですが、その多くは鉄欠乏性貧血です。この鉄欠乏性貧血ですが、外来でよく診る貧血で、特に女性に多いものです。ですから、血液を専門としていない医師も鉄欠乏性貧血はよく知っておられると思います。鉄分の多い食事(レバー、ほうれん草、小松菜…)を摂ることが大切で、実際の治療では、鉄製剤の内服または静脈注射となります。

と、ここまで長々と書いてきましたが、このサラセミアと鉄欠乏性貧血ですが、採血上「小球性低色素性の貧血」となるため、その鑑別(区別)には意外に苦労するのですが、それ以上にサラセミアという病気が頭に思い浮かぶことが少なく、「小球性低色素性の貧血 = 鉄欠乏性貧血」と考えてしまいがちです。そのため、本当はサラセミアであっても鉄欠乏性貧血と診断し、鉄欠乏性貧血の治療を行ってしまうことがあるようです。サラセミアなら鉄剤では貧血は改善しませんので、その時点で「これはおかしい?」となるのです。

皆さまの中で「鉄欠乏性貧血と言われ、鉄剤の治療を受けているのに全然よくならない」という人がおられましたら、血液専門の医師の診察を受けた方がよろしいと思います。もちろんこのYoppyの外来に来てもらえるならwelcomeですよ!もちろんその他の貧血でお困りの方もOKです。

以上 Yoppy(= 吉尾伸之)からでした。今後も続きます。

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