>成育医療



  成育医療の紹介

成育医療とは、子ども達が健やかな成長と発達を遂げることができるように、赤ちゃんの出生前(胎児期)から新生児期、小児期、思春期から成人まで、さらには次の世代へと続いていく広く生涯を見据えた医療と考えられています。成育医療の根底に流れるものは「人に対する優しさ」であり、実践のために最も大切なことは「協調と連携」であろうと思います。私どもは院内においては産科、小児科そして多くの関連する診療科、医療スタッフと協力し密接な連携を取りながらこれに取り組んでいきます。また地域の中では地域医療の実状を考慮に入れ、その特性を十分に生かし、機能分担をしっかり図りながら成育医療の構想を熟成させていきたいと考えています。ここでは当院における成育医療への取り組みと課題について概説します。




1.妊娠、胎児医療
不妊治療、胎児診断
ハイリスク妊娠、分娩の管理

2.新生児医療

3.周産期支援及び発達支援

4.小児医療
小児急性疾患への対応
小児循環器疾患に対する専門医療
小児救急医療への対応

5.成人化した小児疾患への取り組み
  妊娠・胎児医療

1)不妊治療
わが国は現在、急速な少子化が進んでいるが、一方約30万人の婦人が挙児を希望し、不妊治療を受けていると推定されている。この人達に一般的な不妊治療や生殖補助医療技術(ART)によって福音をもたらすことはわが国の将来のために大きな意義があるものと考えられる。 2)ハイリスク妊娠、分娩の管理
分娩数が著しく減少してきた現在、母児共に元気に退院することが、これまでより一層求められている。そのために各科との連携をさらに密にし、この期待に十分沿うように取り組みを行なっている。

3)胎児診断
高齢疾患の増加に伴って染色体異常児の増加が予測されるが、羊水検査等によって胎児診断の必要性が今後ますます増加してくるものと推測される。
  新生児医療

■新生児医療の現状と課題

1)取り組み
地域周産期母子医療センターとしてNICU(6床)を有し、周産期医療に取り組んでいます。

2)院内出生児だけではなく院外出生児に対しても対応
特に院外出生児については要請により病院救急車に小児科医師が必ず同乗し24時間体制にて搬送を行ない、低出生体重児や重度の病的新生児の救命救急治療を実施しています。また比較的軽微な症状を持った新生児に対しても全例小児科医による適切な治療と経過観察を行なっています。

3)課題
新生児医療は新生児搬送から母体搬送へと変化してきていますが、各科との連携をさらに深めながらハイリスク妊娠、分娩、ハイリスク新生児の治療に取り組んでいきます。
またこれからは地域における周産期医療システムをきちんと構築し、しっかりした連携のもとに新生児医療を進めていく必要があります。その中で、〈後遺症の残らない救命〉を目標として、当院としての新生児医療への役割を果たしていきたいと考えています。
  周産期支援及び発達支援

赤ちゃんに対する治療医学と共に、育児相談や育児不安への対応あるいは発達相談や発達支援など保健予防を広く含めた総合的な母子医療のあり方がこれからの総合病院の小児医療の大切な目標の一つと考えられています。

当院小児科では周産母子新生児医療の一環として、赤ちゃんの健康と健やかな成長を願いながら、次のような健診や育児支援、発達支援を計画し進めています。お母さんやお父さんの育児不安や迷いを少しでも解消し、子ども達の健やかな成長発達を支える支援の場となるように積極的な取り組みを行なっています。特に、病院における乳幼児健診のシステムの構築、新生児の難聴スクリーニングへの取り組み、ハイリスクの子ども達に対する予防接種体制への取り組み、完全母乳育児の推進などを重要な課題と考え取り組みを開始しています。


■保健支援及び発達支援内容 -赤ちゃんの健康と健やかな発達のために-

1:出産前保健指導
(1)出生する児に対する親の不安への対応
(2)服薬相談(児への影響など)

2:出生後から産科退院までの対応(産科病棟)
(1)新生児全員の健診と定期的な経過観察
(2)疾病に対する観察入院による対応
(3)母乳育児の推進
(4)入院中あるいは退院時の保健指導、育児相談
(5)聴力のスクリーニング
(6)ビタミンKの予防投与
(7)カンガルーケア、タッチケア

3:乳幼児健診の充実(小児科外来)
(1)退院から1ヶ月健診までの育児支援、育児相談 母乳外来の開設、電話相談など
(2)1ヶ月健診、乳幼児健診の充実
(3)発達外来、発達検査
(4)ハイリスク児に対するワクチン外来
  小児医療

■小児医療の現状と取り組み

1)小児急性疾患への対応
地域における小児医療の中核病院の一つとして、各種感染症、消化器疾患、腎臓疾患、内分泌疾患、アレルギー疾患、神経疾患、循環器疾患、川崎病などほとんどの急性疾患に対応しています。疾患の種類や状態によっては、関連医療機関や療育機関と連携を取りながら最善のきめ細かい医療が提供できるようにしています。今後はさらに専門性の高い高度の小児医療を提供できるように取り組んでいきます。

2)小児専門医療への取り組み
腎臓疾患(膠原病を含む)、循環器疾患(川崎病を含む)、神経疾患、内分泌疾患といった分野で、各分野の専門医が新生児から思春期までの患者さんの診断や治療、さらにマススクリーニング、乳児健診、学校健診などにて発見された各種疾患の二次精査機関として専門性の高い診療への取り組みを行なっております。

3)小児救急医療の現状と取り組み
当院小児科では、常勤医5名、非常勤医4名により24時間体制で小児の二次救急医療に対応しています。今後も地域における小児の初期救急、二次救急医療体制の在り方を考えながら、その中での当院小児科の果たすべき役割を重要な課題としてかかげ、積極的に取り組んでいく予定です。
  成人化した小児疾患に

■成人化した小児疾患への取り組みと課題

小児期から成人へと引き続いていく慢性疾患、小児難病疾患が多数あります。神経疾患、腎疾患、アレルギー疾患、循環器疾患、内分泌代謝疾患、神経疾患、先天異常、発達遅滞さらに心身症など他分野にわたります。、このような疾患を有する人たちの良好QOLを得るために、時には、小児科医による年令を超えた継続的な医学管理が求められることがあります。関連する多くの専門分野の垣根を超えた協力と連携が必要であり、これからも大切な課題としてシステミックに取り組んでいきたいと考えています。

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