平成19年1月31日にがん診療連携拠点病院に指定されたことをうけ、がん診療部が当院に発足しました。当院は石川県の地域がん診療連携拠点病院として金沢市を中心とした石川中央医療圏を担当する基幹病院です。急性期のがん診療における診断と標準的治療(手術療法、化学療法、放射線療法)の提供、身体的苦痛の緩和・除去はもとより、心の救済、さらにはがん患者さんを取り巻くご家族へのケアにも取り組んでいます。当院のがん診療部には外来治療センター、緩和ケアチーム、がん相談支援センター、がん患者就労支援、がんリハビリテーション、がん患者・家族サロン及びがんピアサポートシステム(がん患者さん同士が体験を共有して支え合う支援体制)などが整備されており、個々の患者さんにきめ細かく対応した最良のがん医療と情報の提供に努めています。豊富な症例を礎に、論文発表や学会報告、講演活動などを行って情報の発信を行うと共に、地域の一般市民の方々へのがん教育・啓蒙にも積極的に取り組んでいます。以下のスタッフを中心にがん診療部が運営されています。
【がん診療部 第1部長】 |
太田安彦 (呼吸器外科部長) |
【がん診療部 第2部長】 |
北俊之 (呼吸器内科部長) |
【キャンサーボード】 |
北俊之 (呼吸器内科部長) |
【化学療法部門】 |
三輪聰太郎 (泌尿器科部長) |
【内視鏡診断・治療部門】 |
北俊之 (呼吸器内科部長) |
【放射線診断・治療部門】 |
南麻紀子 (放射線科部長) |
【病理診断・臨床検査部門】 |
川島篤弘 (臨床検査部長) |
【生殖医療部門】 |
野島俊二 (産科・婦人科部長) |
【緩和ケア部門】 |
小室龍太郎 (緩和ケア内科医長) |
【編集部門】 |
中島良夫(脳神経外科医長)
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【研究教育部門】 |
三輪聰太郎 (泌尿器科部長) |
【がんリハビリテーション部門】 |
吉岡克人 (整形外科医長) |
【口腔ケア部門】 |
能﨑晋一 (歯科口腔外科部長) |
【がん相談支援部門】 |
太田安彦 (呼吸器外科部長) |
【がん在宅医療推進部門】 |
太田安彦 (呼吸器外科部長) |
【事務・広報部門】 |
沖田陽一 (経営企画室長) |
急性期医療として標準治療の提供が主軸になりますが、いっそうの包括的視点が求められる時代に入っており、厚生労働省のがん対策推進基本計画に示されたガイドラインに沿い、以下の実践目標に取り組んでいます。
Ⅰ.在宅がん医療における地域医療ネットワークのさらなる充足を目指しています。開業医をはじめ在宅訪問診療において、最期の看取りまで行って頂ける在宅医療機関のリスト作成を更新して整え、関係医師との協議も行いながら、質の担保された在宅がん医療の確保と拡充に取り組んでいます。
Ⅱ.がん相談支援センターの機能の一環として、患者さんの意志決定支援の強化に取り組んでいます。高齢化が進む中において、認知症や一人暮らしといった問題から意志決定支援は今後ますます重要な課題となっています。支援体制の強化に加え、医療者側の啓蒙を通して、相談支援センターが積極的に介入してゆけるシステムを継続して整備しております。加えて、がん患者さんのご家族の支援(学童期以下の子供の支援を含める)にも継続して取り組んでいます。
Ⅲ.地域の一般市民の方々へのがん教育の取り組みとして、市民公開講座を行い、院内・院外講師による、がん疫学、診断、治療などの最新情報の提供と啓蒙に努めています。
Ⅳ.院内・外メディカルスタッフのがん教育に取り組んでいます。がんセミナー、キャンサーボード、緩和治療研修会、広報誌(がん診療部だより)などを通し、知識の普及と共有化に努めております。
Ⅴ.生殖医療に関するがん相談支援業務に取り組んでいます。婦人科系のがん種や乳がんなどにおいて、将来的に妊娠を望むAYA世代の患者さんに対する支援に努め、生殖医療(凍結卵子や卵巣保存など)に関する情報収集に取り組んでいます。
Ⅵ.がんピアサポートシステム(がん患者さんががん患者さんを支援)の強化を目指しています。当院ピアサポーター(有資格者)を育成し、常設となったがんサロン「Tomorrow」の機能充実を図っています。
がん診療実績
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平成26年度 |
平成27年度 |
入院がん患者数 |
1,949人 |
集計中 |
がん登録数 |
806人 |
集計中 |
悪性腫瘍手術件数 |
573件 |
集計中 |
がんに係わる化学療法患者数 |
1,129人 |
集計中 |
放射線治療のべ患者数 |
243人 |
集計中 |
臓器別診療実績(2012年~)
がん相談支援センターには、空調完備した防音構造の相談室が2室あり、担当の看護師と医療ソーシャルワーカーが患者・家族からの相談をお受けしています。現在、看護師1名、医療ソーシャルワーカー3名が国立がんセンターの基礎研修(3)を修了しています。また、がんに関する研修や相談支援に関する研修、事例検討、コミュニケーションスキルトレーニング等を行い、相談業務の質の向上に努めています。
治療と職業生活の両立支援として、社会保険労務士による就労に関する相談業務を週1回行っています。また、2016年11月より、がん患者・家族のサロン「Tomorrow」が常設となりました。平日毎日開催して、ピアサポーターと共に、患者・家族が不安や悩みを自由に情報交換し、相談できる場を設けています。また、毎月1回、サロンイベントとして、医療者などを講師に招いてのミニレクチャー、ピアサポーターによるお楽しみ会やフリートークも行っています。
2017年の相談支援件数は面接・電話相談合わせて2,059件となっております。相談内容は多岐に渡っており、必要に応じて、他部門や医師へ相談・報告・情報提供を受けて対応しています。また、患者遺族(学童期の子供を含む)の支援体制も整えています。
国立がん情報センター等からの資料も豊富に揃っており、インターネットでの情報検索サービスも含めてきめの細かい相談支援を心掛けています。医療スタッフの方もがんに関する情報をお求めの際に相談支援センターをご利用頂けます。
近年、医師、看護師等からの相談依頼、介入依頼が増加傾向にあり、今後は相談支援センターの機能について主治医から患者・家族に対して周知が図られる体制を整えたいと考えています。
緩和ケアチーム
当院の緩和ケアチームの構成員は以下の通りです。三村優仁(身体症状担当医師)、鵜浦雅志(身体症状担当医師)、小室龍太郎(精神症状担当医師)、柴俊輔(薬剤師)、 坂倉喜代美(がん化学療法看護認定看護師)、小林敏郎、丹羽正人(管理栄養士)、尾角裕美(医療ソーシャルワーカー)。 平成17年から活動を開始しています。令和5年度の治療実績は、新規175人のべ2507人です。
◆教育・啓発
がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会
がん診療連携拠点病院に義務付けられている上記の研修会が、石川県でも平成20年から始まりました。
平成30年度から緩和ケア研修会開催指針が変更になりe-learningを修了した医師・歯科医師および医療スタッフが集合研修を受講することとなりました。新指針による緩和ケア研修会について詳しくは厚生労働省がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会e-learning(
https://peace.study.jp/rpv/)をご覧ください。令和6年度の日程は12月15日(日)です。詳細に関してはこちら(
https://kanazawa.hosp.go.jp/service/gan/index.html)からご覧ください。
コミュニケーション・スキル・トレーニング (CST)
医療の根本はコミュニケーションと考え、医師と患者、職員同志がお互いの気持ちに配慮したpositive feedbackを基本としたコミュニケーション技術の習得を目指しています。このためには、日本サイコオンコロジー学会(JPOS)が開発したSHAREプログラムによるコミュニケーション・スキル・トレーニング(CST)をマスターすることが必要であり、患者さんから信頼され、愛される病院作りに貢献できると信じています。
CSTファシリテータ資格を持つ小室龍太郎緩和ケア内科医長を中心に、2008年からがん診療部医師を対象とした院内CSTを開始しています。2024年3月までに12回開催し、計52名の医師が受講してJPOSから修了証を授与されています。
上記内容の詳細については
緩和ケア内科に記載されています。
外来治療センター(外来化学療法室,Ambulatory Therapy Center, ATC) |
外来化学療法室は2007年10月15日に正式オープンしました。 リクライニングチェア(6脚)とベッド(2床)を配置し、一度に8人の方が治療を受けることができます。 室内にはウォッシュレット付きトイレ、共用の冷蔵庫、電子レンジを配備し、DVDプレーヤー付きテレビも治療台ごとに設置し、快適な環境で治療を受けて戴くように整備してあります。 現在は、当番医師1名、専任看護師3名、がん専門薬剤師3名、兼任薬剤師4名が勤務し、安全性を最優先に外来化学療法を実施しています。現在、外科・消化器内科・呼吸器内科・泌尿器科・歯科口腔外科・血液内科・婦人科・呼吸器外科・脳神経外科・神経内科・皮膚科が当センターを利用しております。
詳細については
外来治療センターをご覧ください。
「キャンサーボード」とは、広義には「がん診療に関する問題に対応する院内組織」という意味ですが、その定義や位置づけは各施設により異なります。
当院では独自に発展させた、がん診療に携わる全ての診療科および診療部門のスタッフが一同に会して開催されるカンファレンスおよび研修会を設置しています。当院のキャンサーボード構成メンバーは医師のほかに、がん専門の各種資格を有する専門看護師、がん相談支援や地域医療連携に携わるスタッフ、がんリハビリテーション担当療法士、薬剤師、検査技師、栄養士、事務専門職など多岐にわたる重厚なメンバーで構成されています。また患者さんを紹介頂いた開業医の先生方にもオープンな形で行われています。
がん診療部キャンサーボードが主催する症例検討会は毎月第2、第4金曜日の2回行われています。症例は毎回、相談症例として各科より持ち込まれる症例(診断や治療において難渋している症例、治療が多科にまたがる症例など)のほかに、当院に紹介されたがん症例の中から興味深い症例や珍しい症例などが呈示され、手術が行われた症例においては病理所見をも含めて討論が行われています。診断や治療法が日進月歩で進む中、最新のがん診療に関するトピックスを各診療科が持ち回りで講演する機会も設けております。がん診療に関するトピックスは、当院で毎月第3火曜日に開催されるFace Link in KMC と統合した形で、年に4回程度行われます。なお、本研修会は医師会認定の生涯教育研修にも指定されています。開催実績については
こちらからご確認頂けます。
がん診療部では下記の日程で研修会・講習会を開催いたしますので、ぜひご出席くださいますようご案内申し上げます。
■がん診療部 特別講演会
がんとこころの問題を学びたいあなたへ
国民の2人に1人ががんにかかる時代、がんとこころの問題は医療者必須のテーマです。この分野の第一人者である松岡先生に実践的なお話を分かりやすくしていただきます。今日から役立つお話です。みなさんでご一緒に勉強しませんか。
【開催日時】2024年9月26日(木)17:30~18:30
【開催場所】金沢医療センター 外来診療棟 3階 講堂
【講 師】国立がん研究センター中央病院
精神腫瘍科長/支持療法開発室長 松岡弘道 先生
【対 象】当院職員及び地域医療従事者 (参加無料、申込不要)
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■緩和ケア研修会
平成30年度から緩和ケア研修会開催指針が変更になりe-learningを修了した医師・歯科医師、医療スタッフが集合研修を受講することとなりました。新指針による緩和ケア研修会について詳しくは厚生労働省がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会e-learningをご覧ください。令和6年度の緩和ケア研修会集合研修は12月15日(日) 当院講堂で開催の予定です。右の画像リンクから詳細をご確認ください。
※申込期間は令和6年9月2日(月)~9月13日(金)です。
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■Cancer Board
内容:症例検討会
【がん診療部市民公開講座】2024年11月9日開催
【開催日時】
2024年11月9日(土)9:30~12:20 (開場9:00)
【開催場所】
金沢医療センター管理棟3階 講堂
【講座内容】
専門医と一緒に「がん」を学ぼう
(1)頭にとんだがんを学ぶ 統括診療部長(専門:整形外科) 藤沢弘範
(2)放射線治療を学ぶ 放射線科医師 牧野美琴
【参加定員】
定員100名程度(開場9時00分~)
●事前参加登録不要
●録画・録音、スライド等資料の二次使用は禁止いたします。
■がんセミナー
がん治療やがん患者さんとの関わり方について知識を深め、質を高める勉強会です。毎月1回話題のテーマを取り上げています。内容は主にコメディカル向けのわかりやすい内容になっております。
お気軽にご参加ください。
※過去の開催内容は各年度をクリックすると閲覧できます。
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主ながんの種類と情報(各項目は該当診療科へリンクしています)