扱う主な疾患 |
■脊椎・脊髄の疾患 |
2)腰部脊柱管狭窄症
下肢に疼痛(坐骨神経痛)を生じ、長い距離を続けて歩けないが1度休むと楽になります。椎間板ヘルニアとは異なり、安静にしているときはあまり痛くありません。高齢者の多くの坐骨神経痛は腰部脊柱管狭窄症が原因です。最近では「みのもんた」が手術をしたことで有名になりました。多くは神経の血行を改善する薬、ブロック注射などで疼痛は改善しますが、歩行困難な場合には手術を行うこともあります。
3)頚椎椎間板ヘルニア
首や上肢に痛みやしびれが放散します。クッションである頚椎椎間板の一部が突出することにより生じます。ほとんどの方は安静、消炎鎮痛剤の内服、牽引療法により疼痛は改善します。歩行障害、排尿障害を生した場合は手術をすることもあります。
4)頸椎症性神経根症
頚椎椎間板ヘルニアと同様に首や上肢に痛みやしびれが放散しますが、椎間板の突出が原因ではありません。加齢により骨が変形し、骨棘(骨の出っ張り)が上肢に行く神経根を圧迫するために疼痛を生じます。頚椎椎間板ヘルニアと同様に安静、消炎鎮痛剤の内服、牽引療法をまず行います。頸椎症性神経根症で手術を行うことはまれです。
5)頸椎症性脊髄症
両方の手足がしびれたり、動きが悪くなったりします。ひどくなると歩行障害や排尿排便異常、巧緻運動障害(箸が使えない、ボタンをかけられない)を生じます。加齢により骨が変形し、骨棘(骨の出っ張り)が脊髄の本幹を圧迫するために生じます。これは薬物療法、牽引療法などでは改善しにくく、手術加療が必要となります。狭くなった脊柱管(脊髄の通り道)を広くする手術を行います。
6)骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折
受傷直後は腰に激痛が走り、座ったり寝返りすることもできなくなります。骨粗鬆症のある高齢者が転倒をした場合、背骨が上下に潰れることにより生じます。多くは2-3週間ほど寝た状態で体重をかけなければ背骨が固まり、歩けるようになります。ギプスを巻くことにより早期に離床することも可能です。
7)急性腰痛症 いわゆる「ぎっくり腰」
原因は、多種多様です。最も一般的な原因は、腰椎(腰骨)の一部である椎間板や椎間関節と呼ばれる組織の老化(退行性変化)によって起こるものです。これに不良(悪い)姿勢が絡み合って起こる腰痛が最も頻度の高いものといえます。一般的な腰痛の経過は比較的良好で、1~2週間で痛みは和らぐのが普通です。しかし、激しい痛みがある場合、痛みが長引く場合、腰痛以外に下肢症状(足の痛み・しびれ)が出る場合には整形外科を受診することをお勧めいたします。
8)腰椎分離・辷り症
10代の成長期に、運動時の腰痛を生じます。椎弓という腰椎の後ろ半分の骨にひび(疲労骨折)が入ることにより、腰椎の前半分と後半分が離れてしまいます。10代であれば骨のひびはギプスやコルセットを装着することで治ります。しかし、成人の場合は骨がつく見込みはなく、腹筋と背筋を鍛えて腰痛を予防することが必要です。